ほどもなく消えぬる雪はかひもなし
身をつみてこそあはれと思はめ
- 歌の意味
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すぐに消えてしまう雪では甲斐もない。雪が積もるように、我が身をつねってその痛みを思い知ってこそ、あわれと思いもしようが。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 654
詞書「返し」
すぐに消えてしまう雪では甲斐もない、雪が積もるように思いを重ね、我が身をつねって痛みを知るようにしてこそ、あわれとも思おう、と切り返す歌である。詞書から、前歌の第六百五十三首への返しとわかる。前歌の「消えつつ」を「ほどもなく消えぬる」と受け、「つみ」に雪の「積み」と身を「抓み」を掛けて、たやすく消えるような思いでは心は動かないと応じている。
作者の中務は、宇多天皇の皇子敦慶親王と歌人伊勢との間に生まれた娘である。三十六歌仙に数えられる。
初句「ほどもなく」は、まもなく、すぐに、の意である。
二句「消えぬる雪は」は、消えてしまう雪は、の意で、前歌の第六百五十三首の四句「下に消えつつ」を受けている。
三句「かひもなし」は、甲斐もない、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「身をつみてこそ」は、「つみ」が雪が「積み」の意と、身を「抓み」の意を掛ける掛詞である。係助詞「こそ」は結句の「め」で結ぶ係り結びである。
結句「あはれと思はめ」は、あわれと思うだろう、の意で、「め」は推量の助動詞「む」の已然形である。前歌の初句「あはれとも」を受けている。
つむ:雪が「積む」意と、身を「抓む」(つねる)意を掛ける
かひ:甲斐。効き目、値打ち
- 作者
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中務
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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あはれとも思はじものを白雪の 下に消えつつなほもふるかな
- 次の歌
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よそながら逢ひ見ぬほどに恋ひ死なば 何にかへたる命とか言はむ