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いかにせむ御垣が原に摘む芹の
ねにのみ泣けど知る人のなき

歌の意味
どうしたらよいのだろう。御垣が原で摘む芹の根のように、声に出して泣いてばかりいるのに、この思いを知る人もいない。
鑑賞
巻第十一 恋歌一 668

詞書「題しらず」
 どうしたらよいのか、御垣が原で摘む芹の根ではないが、声を上げて泣いてばかりいるのに知る人もいない、と詠む。二句と三句は「根」を導く序詞で、芹摘みの景から同音の「音」へ転じ、かなわぬ恋に泣くばかりの嘆きを表す。「芹摘む」は、宮中で后が芹を食べる姿を垣間見た者が、かなわぬ恋に芹を摘み続けたという故事にちなみ、かなわない恋の思いを表す言葉とされた。作者は「よみ人しらず」とされるが、治承三十六人歌合では平経盛の歌とされる。
 本巻の第六百四十六首と同じく初句を「いかにせむ」とする。結句の「知る人のなき」は第六百八十九首の結句と同じ句である。

 初句「いかにせむ」は、どうしたらよいだろう、の意で、ここで句切れとなる。第六百四十六首、第六百九十一首、第七百三首も同じ初句で始まる。
 二句「御垣が原に」の「御垣が原」は、宮中の御垣の内の野とも、大和国の地名ともいわれる。宮中にゆかりのある地を思わせ、かなわぬ恋を暗示する。
 三句「摘む芹の」は、芹を摘む故事を踏まえる。二句とともに序詞となって四句の「ね」を導く。
 四句「ねにのみ泣けど」の「ね」は、芹の「根」と、声を上げて泣く意の「音」を掛ける。「ど」は逆接で、声を上げて泣いてばかりいるのに、の意である。
 結句「知る人のなき」は、この思いを知る人もいない、の意である。連体形で終わり、詠嘆の余情を残す。第六百八十九首の結句と同じ句である。

ね:芹の根の意と、泣く声の音を掛ける
みかきがはら:宮中の御垣の内の野とも、大和国の地名ともいわれる
せり:水辺に生える草。かなわぬ恋の故事にちなむ
作者
よみ人しらず
出典
千載和歌集
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人知れぬ涙の川の水上や いはでの山の谷の下水
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つれもなき人の心やあふさかの 関路隔つる霞なるらん