うち頼む人の心はあらち山
こしぢ悔しき旅にもあるかな
- 歌の意味
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頼みにしていた人の心は荒々しいという名の有乳山のようで、越路へやってきた道が悔やまれる旅であることだ。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌上 596
頼りにしていた人の心は、その名のとおり荒々しい有乳山のようで、越路へとやって来た道が悔やまれる旅であることだ、と詠む歌である。頼みにしていた人を頼って越の国へ下ったものの、その人の冷たい心に失望し、旅に出たことを後悔している。
次歌の第五百九十七首も有乳山を詠んでおり、二首で贈答をなしているとみられる。有乳山は越前国の歌枕で、近江から越前へ越える峠の山である。
初句「うち頼む」は、頼りにするの意で、「うち」は語調を整える接頭語である。
二句「人の心は」は、頼りにしていた人の心はの意である。
三句「あらち山」は、越前国の歌枕である有乳山で、その名に「荒し」の意を響かせ、人の心の冷たさを表している。ここで句切れとなる。
四句「こしぢ悔しき」の「こしぢ」は、越の国への道の意の「越路」と、来た道の意の「来し路」とを掛けており、平仮名のままとした。
結句「旅にもあるかな」は、旅であることだの意で、詠嘆の終助詞「かな」で結んでいる。
あらちやま:越前国の歌枕、有乳山。「荒し」の意を響かせて詠まれる
こしぢ:越の国への道の意の「越路」と、来た道の意の「来し路」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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世の中は憂き身に添へる影なれや 思ひ捨つれど離れざりけり
- 次の歌
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思ひやる心さへこそ苦しけれ あらちの山の冬のけしきは