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世の中を知らずながらも津の国の
なには立ちぬるものにぞありける

歌の意味
男女の仲というものを知らないままでも、津の国の難波ではないが、名は立ってしまうものであったのだ。
鑑賞
巻第十七 雑歌三 1201

詞書「人の娘に名立ち侍りて」
 男女の仲を知らないままでも、津の国の難波のように名は立つものだった、と詠んだ歌である。実際には何事もないのに浮き名が立ったことを、「難波」と「名には」を掛けて嘆いている。
 詞書によれば、ある人の娘との間に噂が立った時の歌である。本巻ではこの歌から、身に覚えのない浮き名を嘆く歌が続いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「世の中を」は、男女の仲を、の意である。
 二句「知らずながらも」は、知らないままでも、の意で、まだ契りも結んでいないことをいう。
 三句「津の国の」は、摂津の国の、の意で、四句の「難波」を導いている。
 四句「なには立ちぬる」の「なには」は、地名の「難波」と「名には」を掛けた掛詞で、名は立ってしまう、の意である。
 結句「ものにぞありける」は、ものであったのだ、の意で、「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。本巻の第千百九十七首と同じ結句である。

なには:地名の「難波」と、「名には」を掛ける
なたつ:浮き名が立つ
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
我が身にもあらぬ我が身の悲しきに 心もことになりやしにけん
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世とともに我がぬれぎぬとなるものは わぶる涙の着するなりけり