世の中はいさともいさや風の音は
あきにあき添ふ心地こそすれ
- 歌の意味
-
二人の仲はさあ、どうなのかわからない。吹く風の音は、秋の上にさらに秋が重なり、飽きの上に飽きが添うような心地がする。
- 鑑賞
-
巻第十九 雑恋 1238
詞書「題しらず」
二人の仲はさあどうなのかわからないが、風の音は秋に秋が重なるような心地がすると詠む歌である。「秋」に「飽き」を掛け、身にしみる秋風の音に、相手の心にますます飽きが添っていくのを感じ取る不安を詠んでいる。
初句「世の中は」は、男女の仲は、の意である。
二句「いさともいさや」は、さあどうなのか、の意で、「いさ」を重ねて、わからないという思いを強めている。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「風の音は」は、吹く風の音は、の意で、六音の字余りの句である。
四句「あきにあき添ふ」は、「あき」が季節の「秋」と、心の「飽き」を掛ける掛詞である。秋の上に秋が重なる、飽きの上に飽きが添う、の二つの意を重ねている。
結句「心地こそすれ」は、心地がすることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けてサ変動詞「す」の已然形「すれ」で結ぶ係り結びである。
あき:季節の「秋」と、心の「飽き」を掛ける
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
埋もれ木はなか虫食むといふめれば 久米路の橋は心して行け
- 次の歌
-
石見なる高間の山の木の間より 我が振る袖を妹見けんかも