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小倉山麓の野辺の花薄
ほのかに見ゆる秋の夕暮

歌の意味
小倉山の麓の野辺の花薄が、ほのかに見える秋の夕暮よ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 347

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 薄の二首目である。夕暮の薄がかすかに見えるさまを詠む。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者は「読人しらず」とあり、人名は伝わっていない。
 場面は秋の夕暮、場所は山城国の小倉山の麓である。巻第二の第九十一首の定家歌でも小倉の峰が詠まれており、そちらは紅葉の名所を春に転じていた。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「小倉山」で場所を掲げる。名に「小暗し」の音を含み、下の「ほのかに」と響き合う。
 二句「麓の野辺の」で、山ではなくその下の野に視野が定まる。
 三句「花薄」は穂の出た薄をいう。
 四句「ほのかに見ゆる」は、かすかに見える、の意である。巻第二の第百五十六首の公経歌でも「ほの見し」と用いられた語である。夕暮の薄明かりの中で、白い穂だけがぼんやりと浮かぶ。
 結句「秋の夕暮」は体言止めである。何も起こらない景をそのまま示して終わる形で、この結句は巻第五でくり返される三夕の歌にも用いられる。次の第三百四十八首も「ほのかに」で始まり、二首が語を共有している。

をぐらやま:山城国の山。「小暗し」の音を含む
はなすすき:穂の出た薄
ほのかなり:かすかである
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
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