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うら枯るる浅茅が原の刈萱の
乱れて物を思ふころかな

歌の意味
末が枯れていく浅茅が原の刈萱のように、心が乱れて物思いをするころであることだ。
鑑賞
巻第四 秋歌上 345

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 ここから草を詠む歌が続く。この歌は枯れかけた草の乱れを、心の乱れに重ねる。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の坂上是則は平安時代前期の歌人で、三十六歌仙の一人に数えられる。巻第二では第百五十二首に現れた。
 場面は秋、場所は浅茅の生える原である。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「うら枯るる」の「うら」は末、先のほうをいう。草の先から枯れていくさまを表す。巻第四の第二百八十五首の「裏吹き返す」、第二百九十六首の「うら悲し」と同じ音の語であり、本巻でくり返される。
 二句「浅茅が原の」の「浅茅」は丈の低い茅である。荒れた土地を示す語として詠まれる。
 三句「刈萱の」は草の名である。ここまでが下の「乱れて」を導く序詞として働く。
 四句「乱れて物を」の「乱る」は草が乱れる意と、心が乱れる意との両方に働き、上の刈萱の縁語となる。
 結句「思ふころかな」は「かな」の詠嘆で結ばれる。草の状態から心の状態へ移す構成であり、枯れゆく草を序詞に用いることで、物思いの内容を言わずに気分だけを伝えている。

うらがる:草の先のほうから枯れる
あさぢ:丈の低い茅。荒れた土地に生える
かるかや:草の名。「乱る」の縁語となる
作者
坂上是則
出典
新古今和歌集
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