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ほのかにも風は吹かなん花薄
むすぼほれつつ露に濡るとも

歌の意味
かすかにでも風は吹いてほしい。花薄がもつれたまま露に濡れるとしても。
鑑賞
巻第四 秋歌上 348

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 薄の三首目である。前歌がかすかに見える薄を詠んだのに続き、この歌はかすかにでも風が吹けと願う。原文では詞書が改めて記されていない。
 作者の「女御徽子女王」は徽子女王である。重明親王の娘で、伊勢の斎宮を務めたのち村上天皇の女御となった。本巻では第三百二十五首に続く二度目の登場となる。
 場面は秋、場所は薄の生えるあたりである。
 詠まれた直接の契機は伝わらない。

 初句「ほのかにも」は前歌の「ほのかに」を受ける語である。そちらが見え方、こちらが風の吹き方に用いられており、同じ語が別の対象に移されている。
 二句「風は吹かなん」の「なん」は他に対する願望を表す終助詞で、吹いてほしい、の意になる。
 三句「花薄」で対象が定まる。
 四句「むすぼほれつつ」の「むすぼほる」はもつれてほどけない意で、巻第三の第二百五十二首の寂蓮歌でも篝火の光について用いられた語である。穂がもつれ合うさまをいう。
 結句「露に濡るとも」の「とも」は逆接の仮定条件である。第三百三十首の永縁歌も「露に濡るとも」で結んでおり、二首が同じ結句を共有する。濡れてもよいから風が吹けというのは、薄が風になびく姿を見たいという心であり、風を妨げとした第三百十九首とは逆に、ここでは風が待たれている。

なむ:他に対する願望を表す終助詞。〜してほしい
むすぼほる:もつれてほどけない
とも:逆接の仮定条件を表す。〜としても
作者
徽子女王
出典
新古今和歌集
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