野辺ごとに訪れわたる秋風を
あだにもなびく花薄かな
- 歌の意味
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野辺ごとに音を立てて渡っていく秋風に、実のない相手だと知りながらもなびく花薄であることだ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 350
詞書「摂政太政大臣百首歌よませ侍りけるに」
薄の五首目である。どこにでも吹く風になびく薄を、実のない相手になびく女に見立てる。詞書によれば良経が百首歌を詠ませた折の一首である。
作者の八条院六条は、鳥羽天皇の皇女である八条院暲子内親王に仕えた女房歌人である。生没年は伝わらない。巻第一の第五十四首の作者である八条院高倉と同じ主に仕えた。
場面は秋、場所は薄の生える野辺である。
直接の契機は百首歌の詠進である。
初句「野辺ごとに」は、どの野辺にも、の意である。相手を選ばないことが示される。
二句「訪れわたる」の「訪る」は訪ねる意と音を立てる意の両方に通じる語で、第三百五首の俊成歌でも用いられていた。「わたる」は一面に及ぶ意を添える。
三句「秋風を」で相手が定まる。
四句「あだにもなびく」の「あだ」は、はかない、実のない、また浮気な、の意である。誰の野にも訪れる風は移り気な男にあたり、それと知りながらなびく薄は女にあたる。
結句「花薄かな」は体言止めである。薄がなびくという事実に恋の関係を読み込む構成で、第三百三十六首以来の、秋草を女に見立てる系列に連なる。
おとづる:訪ねる。また音を立てる
あだなり:はかない。実がない。浮気である
なびく:靡く。心を寄せる
- 作者
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八条院六条
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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