明けぬとて野辺より山に入る鹿の
跡吹き送る萩の下風
- 歌の意味
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夜が明けたといって、野辺から山へ入っていく鹿の、その跡を吹き送る萩の下風よ。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 351
詞書「和歌所歌合に朝草花といふことを」
詞書の「朝草花」は、朝の草花、の意である。夜明けに山へ帰る鹿と、その後を吹き送る風を詠む。
作者の「左衛門督通光」は源通光である。内大臣源通親の子で、のち太政大臣に至った。巻第一では第二十五首、巻第三では第二百五十九首に現れた。第三百三十四首ほかの作者である源通具は兄にあたる。
場面は秋の夜明け、場所は萩の生える野辺である。
直接の契機は和歌所の歌合への出詠である。
初句「明けぬとて」は、夜が明けたといって、の意である。「とて」は引用で、鹿がそう判断したかのように読ませる。
二句「野辺より山に」は、野から山へ、の意である。鹿は夜に野へ出て、朝には山へ帰るとされた。第三百三十四首の家持歌が「朝立つ野辺」と詠んだのと同じ観念であり、そちらは出る方向、こちらは帰る方向である。
三句「入る鹿の」で対象が定まる。
四句「跡吹き送る」は、去った後を追って吹く、の意である。風が鹿を見送るという擬人化になる。
結句「萩の下風」は体言止めである。「下風」は木や草の下を吹く風で、巻第二の第百十八首の康資王母歌でも用いられた語である。鹿と萩を取り合わせる型は第三百二十八首
第三百三十四首にも見え、この巻でくり返される。
とて:引用を表す。〜といって
あと:去った後。またその跡
したかぜ:木や草の下を吹く風
- 作者
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源通光
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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