二葉よりわがしめ結ひしなでしこの
花の盛りを人に折らすな
- 歌の意味
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二葉の芽の頃から私が標を結って目印をつけておいた撫子の、花の盛りを、ほかの人に折らせないでおくれ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 183
詞書「女子持て侍りける人に、思ふ心侍りてつかはしける」
二葉の頃から自分が標を結っておいた撫子の、花の盛りをほかの人に折らせないでくれと詠んだ歌である。撫子に相手の娘をなぞらえ、幼い頃から心にかけてきた娘が年頃になったら、ほかの男に渡さないでほしいと願っている。
詞書によれば、娘を持っている人に、その娘に思いを寄せる心があって贈ったものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「二葉より」は、芽生えたばかりの二葉の頃から、の意で、娘の幼い頃を示している。
二句「わがしめ結ひし」は、私が標を結っておいた、の意で、自分のものと目印をつけたことを表す。本巻の第百九十八首の「わがしめし野の」と通じている。
三句「なでしこの」の「なでしこ」は、花の「撫子」と、かわいがって撫でた子の意の「撫でし子」を掛けた掛詞で、相手の娘をなぞらえている。
四句「花の盛りを」は、花の盛りを、の意で、娘が年頃になったことを表す。
結句「人に折らすな」の「な」は禁止で、ほかの人に折らせるな、の意である。花を折ることに、娘をほかの男に嫁がせることを重ねている。
なでしこ:花の「撫子」と、撫でてかわいがった子の意の「撫でし子」を掛ける
しめゆふ:所有のしるしに縄を張る、標を結う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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五月雨にながめくらせる月なれば さやにも見えず雲隠れつつ
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