葦辺より雲居をさして行く雁の
いや遠ざかる我が身悲しも
- 歌の意味
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葦の生える水辺から雲のかなたを目指して飛んでいく雁のように、あの人からますます遠ざかっていくわが身が悲しいことよ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 819
詞書「題しらず」
葦辺から空のかなたへ飛び去る雁のように、恋人からどんどん遠ざかっていく自分の身を悲しむ歌である。上三句が序詞となって「遠ざかる」を導き、雁の姿に離れていく二人の距離を重ねている。結句の「悲しも」に万葉風の古風な響きがある。
初句「葦辺より」は、葦の生える水辺からの意で、雁の飛び立つ場所を示す。
二句「雲居をさして」は、「雲居」が雲のあるところ、空のかなたの意で、「さして」は目指しての意となる。
三句「行く雁の」は、空を飛んでいく雁の意で、初句からここまでが四句の「遠ざかる」を導く序詞となる。
四句「いや遠ざかる」は、「いや」がますますの意で、雁が遠ざかる意と、恋人から自分が遠ざかる意を重ねる。
結句「我が身悲しも」は、「も」が詠嘆の終助詞で、悲しいことよと結ぶ。上代の歌に多い古風な言い方である。
あしべ:葦の生えている水辺
くもゐ:雲のあるところ、空のかなた
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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荒磯海の浜の真砂と頼めしは 忘るることの数にぞありける
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時雨つつもみづるよりも言の葉の 心のあきに逢ふぞわびしき