いかでかと思ふ心のある時は
おほめくさへぞうれしかりける
- 歌の意味
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なんとかして逢いたいと思う心がある時には、あの人がとぼけて、はっきりしない態度をとることさえ、うれしく思われたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 693
詞書は前の歌に続き「題しらず」
なんとかして逢いたいと思う心がある時は、相手がとぼけてはっきりしない態度をとることさえうれしかったと詠む歌である。拒まれずに曖昧にされることにさえ望みを見いだす、恋する者のいじらしい心を表している。前歌の第六百九十二首が頼ませてもらうだけで命が延びるとしたのに続き、わずかな手応えにも喜ぶ心を詠む。
初句「いかでかと」は、なんとかしてと、の意で、第六百三十四首、第六百三十五首の初句「いかでかは」と同じ「いかで」の語を用いている。
二句「思ふ心の」は、思う心が、の意で、第六百三十三首の二句などと同じ句である。
三句「ある時は」は、ある時は、の意である。
四句「おほめくさへぞ」は、とぼけることさえ、の意で、「さへ」は添加を表す副助詞、係助詞「ぞ」は結句の「ける」で結ぶ係り結びである。
結句「うれしかりける」は、うれしかったことだ、の意で、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形である。
おほめく:とぼける、はっきりしない態度をとる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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逢ひ見ては死にせぬ身とぞなりぬべき 頼むるにだに延ぶる命は
- 次の歌
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わびつつも昨日ばかりは過ぐしてき 今日や我が身の限りなるらん