忘るらんと思ふ心の疑ひに
ありしよりけに物ぞ悲しき
- 歌の意味
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あの人はもう私を忘れているだろうと思う心の疑いのために、以前よりもいっそう物悲しいことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1362
詞書は前の歌に続き「題しらず」
つらさと忘却を詠む一連の一首目である。相手はもう自分を忘れているだろうという疑いのために、以前にもまして悲しいと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
初句「忘るらんと」は六音の字余りである。「らん」は現在の推量で、あの人は今ごろ忘れているだろう、の意である。
二句「思ふ心の」で、その推量が自分の心の中のものであることが示される。
三句「疑ひに」は、疑いのために、の意である。確かめられないまま疑うことが、悲しみの原因とされる。
四句「ありしよりけに」の「けに」は、いっそう、ことさらに、の意である。以前の状態と今とを比べている。
結句「物ぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ係り結びである。前歌が煙はなびくまいと心の揺らがなさを示したのに対し、ここからは相手の心を疑い、忘れられることを恐れる歌が続く。
うたがひ:疑い
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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浦に焚く藻塩の煙なびかめや 四方の方より風は吹くとも
- 次の歌
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憂きながら人をばえしも忘れねば かつ恨みつつなほぞ恋しき