憂きながら人をばえしも忘れねば
かつ恨みつつなほぞ恋しき
- 歌の意味
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つらいと思いながらも、あの人をどうしても忘れることができないので、一方では恨みながら、それでもやはり恋しい。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1363
詞書は前の歌に続き「題しらず」
つらさと忘却を詠む一連の二首目である。つらいと思いながらも相手を忘れられず、恨みつつもなお恋しいと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
初句「憂きながら」は、つらいと思いながらも、の意である。
二句「人をばえしも」の「え」は下の打消と呼応して、とても~できない、の意を表す。「し」「も」は強めである。
三句「忘れねば」は、忘れないので、の意である。前歌が相手に忘れられることを恐れたのに対し、この歌では自分の方が相手を忘れられないと詠み、忘れる側と忘れられない側が向き合っている。
四句「かつ恨みつつ」の「かつ」は、一方では、の意である。恨む心と恋しい心が同時にある。
結句「なほぞ恋しき」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「恋しき」で結ぶ係り結びである。前歌の結句「物ぞ悲しき」と同じ「ぞ」と形容詞連体形で結ぶ形である。
うらむ:恨む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忘るらんと思ふ心の疑ひに ありしよりけに物ぞ悲しき
- 次の歌
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命をばあだなるものと聞きしかど つらきがためは長くもあるかな