命をばあだなるものと聞きしかど
つらきがためは長くもあるかな
- 歌の意味
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命というものははかないものだと聞いていたけれど、つれない人のためには、なんとも長いものであることよ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1364
詞書は前の歌に続き「題しらず」
つらさと忘却を詠む一連の三首目である。命ははかないものと聞いていたのに、つれない人のために苦しむ身には長く感じられると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
初句「命をば」は、命というものは、の意である。
二句「あだなるものと」は、はかないものと、の意である。命ははかないという世の通念を示す。
三句「聞きしかど」は、聞いていたけれども、の意で、その通念を覆す形である。本巻の第千三百四十二首が「あだなりと思ひしかども」と露のはかなさの通念を覆したのと同じ構えで、ここでは命のはかなさの通念に理屈を差し向けている。
四句「つらきがためは」は、つれない人のためには、の意である。
結句「長くもあるかな」は、詠嘆の「かな」で結ぶ。はかないはずの命が、つらさの中では長いと感じられる。前歌の忘れられない思いが、命の長さの嘆きへと移っている。
あだ:はかないこと、誠実でないこと
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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憂きながら人をばえしも忘れねば かつ恨みつつなほぞ恋しき
- 次の歌
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いづかたにゆき隠れなん世の中に 身のあればこそ人もつらけれ