人はいさありとやすらむ忘られて
問はれぬ身こそなき心地すれ
- 歌の意味
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あの人はさあ、私がまだこの世にいると思っているのだろうか。忘れられて訪ねてもらえないこの身は、もうこの世にない心地がするのに。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 476
あの人は自分がまだこの世にいると思っているのだろうか、忘れられて訪ねてもらえない身は、もうこの世にない心地がするのに、と詠む歌である。「あり」と「なき」を対比させ、忘れられた者の存在のはかなさを表している。
初句「人はいさ」は、あの人はさあどうかの意で、副詞「いさ」はわからないという気持ちを表す。
二句「ありとやすらむ」は、私が生きているとでも思っているのだろうかの意で、係助詞「や」と現在推量の「らむ」の連体形の係り結びで、二句切れとなる。
三句「忘られて」は、忘れられての意で、受身の「る」を用いる。
四句「問はれぬ身こそ」は、訪ねてもらえないこの身はの意で、係助詞「こそ」は結句の「すれ」と係り結びをなしている。
結句「なき心地すれ」は、いない心地がするの意で、二句の「あり」と対をなし、サ変動詞「す」の已然形「すれ」で、四句の「こそ」を受けて結んでいる。
とふ:訪れる、見舞う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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行方なくかきこもるにぞ引き繭の いとふ心のほどは知らるる
- 次の歌
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早くより浅き心と見てしかば 思ひ絶えにき山川の水