行方なくかきこもるにぞ引き繭の
いとふ心のほどは知らるる
- 歌の意味
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行方も知れず閉じこもってしまったことで、引き繭の糸ではないが、私を厭う心の深さが知られることだ。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 475
行方も知らせずにすっかり閉じこもってしまったことから、繭にこもる蚕のように、自分を厭う心のほどがよくわかる、と詠む歌である。繭と糸と厭ふを掛詞と縁語で結び、身を隠して逢おうとしない相手の冷たさを表している。
作者の「待賢門院堀河」は、神祇伯源顕仲の娘で、鳥羽天皇の中宮待賢門院藤原璋子に仕えた女房である。小倉百人一首にも歌が採られている。
初句「行方なく」は、行方もわからずの意である。
二句「かきこもるにぞ」は、すっかり閉じこもったことでの意で、「かき」は意味を強める接頭語である。係助詞「ぞ」は結句の「るる」と係り結びをなしている。
三句「引き繭の」は、糸を引き出す繭のの意で、繭にこもる蚕のさまを二句の「こもる」と重ね、四句の「いと」を導いている。
四句「いとふ心の」の「いと」は、繭の「糸」と、嫌う意の「厭ふ」とを掛けており、平仮名のままとした。
結句「ほどは知らるる」は、程度がおのずとわかることだの意で、自発の「る」の連体形「るる」で、二句の「ぞ」を受けて結んでいる。
かきこもる:すっかり閉じこもる
ひきまゆ:糸を引き出す繭
いとふ:繭の「糸」と、嫌う意の「厭ふ」を掛ける
- 作者
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待賢門院堀河
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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冬の夜の雪げの空に出でしかど 影よりほかに送りやはせし
- 次の歌
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人はいさありとやすらむ忘られて 問はれぬ身こそなき心地すれ