逢ひ見ては死にせぬ身とぞなりぬべき
頼むるにだに延ぶる命は
- 歌の意味
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逢うことができたなら、死ぬことのない身となってしまうにちがいない。頼みに思わせてくれるだけでも延びる命なのだから。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 692
詞書は前の歌に続き「題しらず」
頼みに思わせてもらうだけでも延びる命なのだから、実際に逢えたならば死ぬことのない身になるにちがいないと詠む歌である。わずかな約束にさえ命が延びる思いがするという喜びを、逢えば死なない身になるという大げさな言い方で表している。前歌の第六百九十一首が頼ませるだけの相手を責めたのに対し、この歌は頼ませてもらうことに喜びを見いだしており、「頼む」をめぐって対照的である。また第六百八十二首、第六百八十四首の恋い死にを詠む歌々とも反転した構図となっている。
初句「逢ひ見ては」は、逢うことができたなら、の意である。
二句「死にせぬ身とぞ」は、死ぬことのない身と、の意で、係助詞「ぞ」は三句の「べき」で結ぶ係り結びである。
三句「なりぬべき」は、なってしまうにちがいない、の意で、「ぬ」は完了、「べき」は推量の助動詞「べし」の連体形である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「頼むるにだに」は、頼みに思わせてくれるだけでも、の意で、第六百九十首、第六百九十一首の「頼むる」と同じ語である。
結句「延ぶる命は」は、延びる命は、の意で、倒置して上の句の理由を示している。
のぶ:延ぶ。延びる、長くなる
あひみる:逢ひ見る。男女が逢う、契りを結ぶ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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流れてと頼むるよりは山川の 恋しき瀬々に渡りやはせぬ
- 次の歌
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いかでかと思ふ心のある時は おほめくさへぞうれしかりける