わびつつも昨日ばかりは過ぐしてき
今日や我が身の限りなるらん
- 歌の意味
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思い悩みながらも、昨日まではなんとか過ごしてきた。今日こそが、私の命の終わりなのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 694
詞書は前の歌に続き「題しらず」
思い悩みながらも昨日までは何とか過ごしてきたが、今日こそ我が身の命の終わりなのだろうかと詠む歌である。恋の苦しみに耐えてきた日々の限界を、昨日と今日の対比で、切迫した思いとして表している。次歌の第六百九十五首、第六百九十六首とともに、今日と明日を詠む歌へと続き、一日一日をやり過ごす恋の歌が並ぶ。
初句「わびつつも」は、思い悩みながらも、の意で、「つつ」は継続を表す。
二句「昨日ばかりは」は、昨日まではなんとか、の意である。
三句「過ぐしてき」は、過ごしてきた、の意で、「て」は完了の助動詞「つ」の連用形、「き」は過去の助動詞である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「今日や我が身の」は、今日が私の身の、の意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「らん」で結ぶ係り結びである。次歌の第六百九十五首の二句「今日は暮らしつ」と、今日の語を共有している。
結句「限りなるらん」は、命の終わりなのだろうか、の意で、第六百四十二首の二句「命は限り」と同じく「限り」の語を用いている。
わぶ:侘ぶ。思い悩む、つらく思う
かぎり:限り。命の終わり
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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いかでかと思ふ心のある時は おほめくさへぞうれしかりける
- 次の歌
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恋ひつつも今日は暮らしつ霞立つ 明日の春日をいかで暮らさん