あはれとも憂しとも物を思ふ時
などか涙のいと流るらむ
- 歌の意味
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いとしいとも、つらいとも、物思いをするときには、どうして涙がこれほどひどく流れるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 805
詞書「題しらず」
いとしいと思うときも、つらいと思うときも、どちらの物思いにも涙がとめどなく流れるのはなぜかと問う歌である。喜びと悲しみという正反対の感情がいずれも涙を誘うことに目を向け、恋にまつわる心の揺れの深さを示している。
なお本文の四句は「なとか」とあり、読み仮名の行の「なにか」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「あはれとも」は、しみじみといとしい、心を動かされるの意で、恋の喜びや感動の側の感情をいう。
二句「憂しとも物を」は、つらいの意で、初句の「あはれ」と対になる。「物を」は三句の「思ふ」の目的語である。
三句「思ふ時」は、物思いをするときの意で、恋の悩みにふける時をいう。
四句「などか涙の」は、「などか」がどうしての意の疑問で、結句の「らむ」で結ぶ。
結句「いと流るらむ」は、「いと」がたいそう、ひどくの意、「らむ」は原因推量で、なぜこれほど流れるのかと問う。
あはれ:しみじみと心を動かされること、いとしさ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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初雁のなきこそ渡れ世の中の 人の心のあきし憂ければ
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