世の中を厭ふ山辺の草木とや
あなうの花の色に出でにけむ
- 歌の意味
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世の中を嫌って人が隠れ住む山辺の草木だからというのか、「ああつらい」という名の卯の花が、その思いを色に表して咲いたのだろう。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 949
詞書「題しらず」
山辺に咲く卯の花の名に「あな憂」を聞き取り、世を厭う人の住む山の草木だから、つらいという思いを花の色に表したのだろうと詠んだ歌である。花の名に掛けた機知の中に、世を厭う心を託している。
本巻の第九百三十六首の「あな憂世の中」と同じ嘆きの語を、卯の花の名に掛けて用いている。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「世の中を」は、俗世を、の意である。
二句「厭ふ山辺の」は、世を嫌って人が隠れ住む山辺の、の意である。
三句「草木とや」は、草木だというので、の意。「や」は疑問の係助詞で、結句の「けむ」の連体形と呼応する。
四句「あなうの花の」は、「あな憂」と「卯の花」を掛けた掛詞である。卯の花は初夏に白い花を咲かせる。
結句「色に出でにけむ」は、思いを表に出したのだろう、の意。「色に出づ」は心の内を表に表すことをいう。
あなう:「あな憂」(ああつらい)と「卯の花」の「う」を掛ける
うのはな:卯木の花。初夏に白い花を咲かせる
いろにいづ:心の思いが表に表れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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世の中は昔よりやは憂かりけむ わが身ひとつのためになれるか
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み吉野の山のあなたに宿もがな 世の憂き時の隠れ家にせむ