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春来れば柳の糸もとけにけり
結ぼほれたる我が心かな

歌の意味
春が来たので、柳の糸もほどけてしまった。それなのに、ふさぎこんでほどけない私の心であることよ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 814

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 春が来て柳の糸のような枝もほどけたのに、私の心は結ぼれたままでほどけないと嘆く歌である。芽吹いてしなやかになびく柳と、恋に悩んでふさぎこむ心とを対比している。

 初句「春来れば」は、春が来たので、の意である。
 二句「柳の糸も」は、柳の糸のような枝も、の意である。次歌の第八百十五首の三句「青柳の」と、柳の糸を共有している。
 三句「とけにけり」は、ほどけてしまった、の意で、ここで句切れとなる。「とけ」と「結ぼほれ」は糸の縁語である。
 四句「結ぼほれたる」は、ふさぎこんでいる、の意で、糸が結ばれてほどけない様子に心のさまを重ねている。三句の「とけ」と対をなしている。
 結句「我が心かな」は、私の心であることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。

むすぼほる:結ぼほる。糸が結ばれてほどけない。気がふさぐ
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
かの岡に萩刈る男縄をなみ 練るやねりそのくだけてぞ思ふ
次の歌
いづ方によるとかは見む青柳の いと定めなき人の心を