鳥の子はまだ雛ながら立ちていぬ
かひのみゆるは巣守なりけり
- 歌の意味
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鳥の子はまだ雛のままで巣立って去ってしまった。卵が見えるのは、孵らずに残った巣守であったのだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 383
詞書「いぬかひのみゆ」
鳥の子はまだ雛のうちに巣立ってしまい、巣に見える卵は孵らずに残った巣守であったと詠む歌である。巣立ちのあとの巣のさまを詠み、三句から四句にかけての「いぬかひのみゆ」の音の続きに、詞書の「犬飼の御湯」の名を隠している。詞書の「いぬかひのみゆ」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「鳥の子は」は、鳥の子は、の意である。
二句「まだ雛ながら」は、まだ雛のままで、の意である。
三句「立ちていぬ」は、巣立って去ってしまった、の意で、ここで句切れとなる。「いぬ」は、上の句と下の句をまたいで「いぬかひのみゆ」の名の頭になっている。
四句「かひのみゆるは」は、卵が見えるのは、の意である。本巻の第三百八十六首、第三百八十七首も「みゆ」の音に温泉の名を隠している。
結句「巣守なりけり」は、巣守であったのだ、の意で、「けり」は気づきを表す。本巻の第三百七十四首の主のいない鶯の巣と、残された巣をめぐって響き合っている。
いぬかひのみゆ:犬飼の御湯。信濃国の温泉とされる。「立ちて去ぬ卵の見ゆ」の音の続きに隠して詠み込む
かひ:卵。また卵の殻
すもり:孵らずに巣に残った卵。巣守
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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