恨めしき君が垣根の卯の花は
うしと見つつもなほ頼むかな
- 歌の意味
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恨めしいあなたの家の垣根の卯の花は、その名のように憂くつらいと見ながらも、やはり頼みにしてしまうことだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 151
詞書「物言ひかはし侍りける人のつれなく侍りければ、その家の垣根の卯の花を折りて言ひ入れて侍りける」
恨めしいあなたの垣根の卯の花を、つらいと思いながらも、やはり頼みにしてしまうと詠んだ歌である。卯の花の「う」に「憂し」を響かせ、冷たい相手をなお思い切れない心を表している。
詞書によれば、言葉を交わしていた人が冷淡であったので、その家の垣根の卯の花を折って、歌を言い入れたものである。次歌は相手の返歌で、二首は贈答をなしている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「恨めしき」は、つれない相手への恨みを率直に示している。
二句「君が垣根の」は、相手の家の垣根を示し、詞書の卯の花を折った垣根にあたる。
三句「卯の花は」は、垣根に咲く卯の花を示し、その「う」の音を四句の「うし」に響かせている。次歌の第百五十二首も三句に「卯の花の」を置いて応じている。
四句「うしと見つつも」の「うし」は、卯の花の「卯」と、つらい意の「憂し」を掛けた掛詞である。「つつ」は反復を表し、つらいと見ながらも、の意である。
結句「なほ頼むかな」は、それでもやはり頼みにしてしまうことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。思い切れない心を結んでいる。
うし:卯の花の「卯」と、つらい意の「憂し」を掛ける
いひいる:外から内へ歌や言葉を伝え入れる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ほととぎす声待つほどは遠からで 忍びに鳴くを聞かぬなるらん
- 次の歌
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憂き物と思ひ知りなば卯の花の 咲ける垣根も尋ねざらまし