もろともに折りし春のみ恋しくて
ひとり見まうき花盛りかな
- 歌の意味
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あなたと一緒に花を折った春ばかりが恋しくて、ひとりで見るのは気の進まない花盛りであることよ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1039
詞書「桜の花咲きて侍りける所に、もろともに侍りける人の、後の春ほかに侍りけるに、その花を折りて遣はしける」
あなたと一緒に花を折った春ばかりが恋しく、ひとりで見るのは気の進まない花盛りであると詠む歌である。詞書から、桜の咲く所で共に過ごした人が、翌年の春にはよそにいたので、その花を折って送った歌とわかる。同じ花を前にしながら、ひとりで見る寂しさを訴え、去った人への思いを伝えている。
初句「もろともに」は、一緒に、の意で、次歌の第千四十首の初句「もろともに」と同じ句を共有している。
二句「折りし春のみ」は、花を折った春ばかりが、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
三句「恋しくて」は、恋しくて、の意である。
四句「ひとり見まうき」は、ひとりで見るのは気が進まない、の意で、「まうき」は〜したくない意を表す助動詞「まうし」の連体形である。初句の「もろともに」と対をなしている。
結句「花盛りかな」は、花盛りであることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
もろとも:諸共。一緒
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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桜花我が宿にのみ有りと見ば なき物くさは思はざらまし
- 次の歌
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もろともに我し折らねば桜花 思ひやりてや春を暮らさん