もろともに我し折らねば桜花
思ひやりてや春を暮らさん
- 歌の意味
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皆と一緒に私は花を折らなかったので、桜の花を遠く思いやるばかりで、春を過ごすのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1040
詞書「御厨子所に候ひけるに、蔵人所のをのこども、桜の花を遣はしければ」
皆と一緒に花を折りに出かけなかったので、桜の花を遠く思いやるばかりで春を過ごすのだろうかと詠む歌である。詞書から、作者が宮中の御厨子所に勤めていた折、蔵人所の男たちが桜の花を送ってきたので詠んだ歌とわかる。花見に加われなかった身の寂しさを、送られた花への返しとして伝えている。
作者の壬生忠見は、壬生忠岑の子で、三十六歌仙に数えられる。天徳内裏歌合で平兼盛と競った、百人一首の「恋すてふ」の歌で知られる。
初句「もろともに」は、皆と一緒に、の意で、前歌の第千三十九首の初句「もろともに」と同じ句を共有している。
二句「我し折らねば」は、私は折らなかったので、の意で、「し」は強めの副助詞、「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ば」は原因を表す。
三句「桜花」は、桜の花を、の意で、次歌の第千四十一首の三句「桜花」と同じ語である。
四句「思ひやりてや」は、遠く思いやって、の意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「ん」で結ぶ係り結びである。次歌の第千四十一首の四句「思ひやりてや」と同じ句である。
結句「春を暮らさん」は、春を過ごすのだろうか、の意で、「ん」は推量の助動詞の連体形である。次歌の第千四十一首の結句「春を暮らさむ」と同じ句で、下の句全体を二首が共有している。
みづしどころ:御厨子所。宮中で天皇の食膳を調えた所
くらうどどころ:蔵人所。天皇の側近として仕える蔵人の役所
おもひやる:思ひ遣る。遠く離れたものに思いをはせる
- 作者
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壬生忠見
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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もろともに折りし春のみ恋しくて ひとり見まうき花盛りかな
- 次の歌
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霞立つ山のあなたの桜花 思ひやりてや春を暮らさむ