夢のごとなどか夜しも君を見む
暮るる待つ間も定めなき世を
- 歌の意味
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夢のように、どうして夜に限ってあなたに逢うのだろうか。日が暮れるのを待つ間も、どうなるかわからない世の中なのに。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 734
詞書「天暦御時歌合に」
夢と同じように、どうして夜ばかりあなたに逢わなければならないのか、日暮れを待つ間さえどうなるかわからない無常の世なのにと詠む歌である。詞書から、村上天皇の天暦の御代に催された歌合で詠まれた歌とわかる。逢瀬が夜に限られることへの不満を、人の命の定めなさを持ち出して訴え、昼にも逢いたいという切実な思いを表している。第七百二十五首が夜に逢えるので暮れが待ち遠しいと詠んだのに対し、この歌は暮れを待つ間さえ惜しいと詠んでいる。次歌の第七百三十五首とともに、天暦の歌合の歌が並ぶ。
作者の「たたみ」は壬生忠見である。古今和歌集の撰者の一人である壬生忠岑の子で、官位は低かったが歌にすぐれ、三十六歌仙に数えられる。
初句「夢のごと」は、夢のように、の意で、夢を見るのが夜であることを踏まえている。
二句「などか夜しも」は、どうして夜に限って、の意で、「などか」は疑問、「しも」は強めを表す。係助詞「か」は三句の連体形「む」で結ぶ係り結びである。本巻の第七百二十五首の三句「夜し逢へば」と、夜にしか逢えない恋を詠む点で共通している。
三句「君を見む」は、あなたに逢うのだろうか、の意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「暮るる待つ間も」は、日が暮れるのを待つ間も、の意で、本巻の第七百二十二首の二句「暮れを待つ間の」と同じ語を用いている。
結句「定めなき世を」は、定めのない世なのに、の意で、「を」は逆接を表し、倒置して三句の問いの理由を示している。
よ:世。世の中、人の命
うたあはせ:歌合。歌人を左右に分け、歌の優劣を競う催し
- 作者
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壬生忠見
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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夢よりもはかなきものはかげろふの ほのかに見えし影にぞありける
- 次の歌
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恋しきを何につけてか慰めむ 夢だに見えず寝る夜なければ