秋風の関吹き越ゆるたびごとに
声うち添ふる須磨の浦波
- 歌の意味
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秋風が須磨の関を吹き越えるたびに、その音に声を添えて響く須磨の浦波である。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1599
詞書「天暦御時屏風歌」
須磨を詠む一連の二首目である。秋風が須磨の関を吹き越えるたびに、声を添えるように須磨の浦波の音が響くと詠む。詞書によれば、村上天皇の天暦の頃に屏風絵に添えて詠まれた歌である。
作者の「壬生忠見」は、壬生忠岑の子である。三十六歌仙の一人で、天徳内裏歌合で平兼盛と歌を競ったことで知られる。
屏風歌は、屏風に描かれた絵に合わせて詠み、色紙に書いて貼り添える歌である。
『源氏物語』須磨巻には、須磨の秋を「行平の中納言の、関吹き越ゆると言ひけん浦波」と描く一節がある。
初句「秋風の」は、秋風が、の意で、「の」は主格を表す。
二句「関吹き越ゆる」は、須磨の関を吹き越える、の意である。前歌の凪いだ春の朝から一転して、秋風の吹く須磨が詠まれる。
三句「たびごとに」は、そのたびに、の意である。風が吹き越えるたびに繰り返される響きを示す。
四句「声うち添ふる」は、風の音に声を添える、の意である。浦波の音を声にたとえ、風と波の音が重なり合う。
結句「須磨の浦波」は体言止めで、秋風に応えて響く浦波を締めくくりに置く。前歌の初句「須磨の浦の」と、「須磨の浦」の語を共有している。
せき:関所。人や物の行き来を取り調べる所
うらなみ:浦に寄せる波
- 作者
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壬生忠見
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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須磨の浦の凪ぎたる朝はめもはるに 霞にまがふ海人の釣舟
- 次の歌
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須磨の関夢を通さぬ波の音を 思ひもよらで宿を借りける