- 歌の意味
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霞の立つ山の向こうの桜の花を、遠く思いやるばかりで、春を過ごすのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1041
詞書「ある人のもとに遣はしける」
霞の立つ山の向こうの桜の花を、遠く思いやるばかりで春を過ごすのだろうかと詠む歌である。詞書から、ある人のもとへ送った歌とわかる。山の向こうの見えない桜に、遠く離れた相手を重ね、会えずに思いをはせるばかりの心を伝えている。前歌の第千四十首と下の句をそのまま共有し、前歌が花見に加われない身の寂しさを詠んだのに対し、この歌は霞に隔てられた遠い花を思いやる心を詠んでいる。
作者の浄蔵は、文章博士三善清行の子で、天台宗の僧である。験力に優れたことで知られる。原文の「御導師」は、法会で衆僧を導いて読経などを行う役の僧をいう。
初句「霞立つ」は、霞が立つ、の意で、二句の「山」にかかっている。
二句「山のあなたの」は、山の向こうの、の意で、霞に隔てられて見えない遠くの花をいう。
三句「桜花」は、桜の花を、の意で、前歌の第千四十首の三句「桜花」と同じ語である。
四句「思ひやりてや」は、遠く思いやって、の意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「む」で結ぶ係り結びである。前歌の四句と同じ句である。
結句「春を暮らさむ」は、春を過ごすのだろうか、の意で、前歌の結句「春を暮らさん」と同じ句である。
あなた:彼方。向こう
だうし:導師。法会で衆僧を導く役の僧
- 作者
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浄蔵
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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もろともに我し折らねば桜花 思ひやりてや春を暮らさん
- 次の歌
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をちかたの花も見るべく白波の ともにや我も立ち渡らまし