をちかたの花も見るべく白波の
ともにや我も立ち渡らまし
- 歌の意味
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川の向こうの花も見ることができるように、白波と一緒に、私も川を渡って行こうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1042
詞書「題しらず」
川の向こうの花も見られるように、白波とともに私も立って川を渡って行こうかと詠む歌である。向こう岸へと立ち渡っていく白波に心を寄せ、遠くの花を見に行きたい思いを表している。前の二首の第千四十首、第千四十一首が遠くの花を思いやるばかりであったのに対し、この歌は自ら渡って見に行こうかと詠んでいる。
作者の紀貫之は、古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「をちかたの」は、遠くの、川向こうの、の意で、前歌の第千四十一首の二句「山のあなたの」と、遠くの花を詠む点で通じている。
二句「花も見るべく」は、花も見ることができるように、の意で、「べく」は可能の助動詞「べし」の連用形である。
三句「白波の」は、白波の、の意である。
四句「ともにや我も」は、白波と一緒に私も、の意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「まし」で結ぶ係り結びである。
結句「立ち渡らまし」は、立って渡って行こうか、の意で、「まし」はためらいを含む意志を表す。「立ち渡る」は、白波が立って向こうへ寄せることと、自分が出立して渡ることを重ねている。
をちかた:遠方。遠くの方、川向こう
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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霞立つ山のあなたの桜花 思ひやりてや春を暮らさむ
- 次の歌
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待てといはばいともかしこし花山に しばしと鳴かん鳥の音もがな