咲きそめし時より後はうちはへて
世は春なれや色の常なる
- 歌の意味
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咲き始めた時から後はずっと、この世は春であるのだろうか。花の色がいつまでも変わらないことだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 931
詞書「屏風の絵なる花を詠める」
屏風に描かれた花を詠んだ歌である。絵の花は散ることがなく、咲き始めてからずっと色が変わらないので、この絵の中の世はいつまでも春なのだろうかと詠む。絵の中の永遠の春という発想が、屏風歌の名手である貫之らしい。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、『古今和歌集』の撰者の中心となり、仮名序を著した。三十六歌仙の一人である。
初句「咲きそめし」は、過去の「き」の連体形「し」を用い、咲き始めたの意となる。
二句「時より後は」は、咲き始めてから以後ずっとの意である。
三句「うちはへて」は、長く引き続いての意である。
四句「世は春なれや」は、已然形に疑問の「や」が付いた形で、世は春なのだろうかの意となる。次歌の第九百三十二首の結句「秋の憂ければ」と、春と秋、喜びと憂いの対をなす。
結句「色の常なる」は、「や」を受けて連体形「なる」で結ぶ係り結びで、花の色がいつも変わらないことだの意となる。
うちはふ:長く引き続く
びやうぶ:室内に立てて仕切りや飾りとする家具、屏風
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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思ひせく心の内の滝なれや 落つとは見れど音の聞こえぬ
- 次の歌
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刈りて干す山田の稲のこきたれて なきこそわたれ秋の憂ければ