秋萩の花をば雨に濡らせども
君をばましてをしとこそ思へ
- 歌の意味
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秋萩の花を雨に濡らして散らせてしまうのは惜しいけれど、あなたとの別れは、それにもまして惜しいと思うのだ。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 397
詞書「雷鳴の壺に召したりける日、大御酒などたうべて、雨のいたく降りければ、夕さりまで侍りてまかり出でける折に、盃を取りて」
雷鳴の壺に召された日、御酒をいただき、雨がひどく降ったので夕方まで伺候し、退出する折に盃を取って詠んだ歌である。雨に濡れる秋萩の花も惜しいが、あなたとの別れはさらに惜しいと、花にまさる相手への思いを述べている。次歌が兼覧王の返しであることから、「君」は兼覧王を指すと考えられる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。『古今和歌集』の撰者の一人で、仮名序を書いた。
初句「秋萩の」は、雨に濡れる秋の花として、惜しむ対象を示す。
二句「花をば雨に」は、「をば」で花を取り立て、四句の「君をば」と対をなす。
三句「濡らせども」は、逆接の「ども」で、花を濡らすのも惜しいがと認めつつ、下の句へ転じる。
四句「君をばまして」は、「まして」がそれ以上にの意で、花と君とを比べ、君をより重く置く。
結句「をしとこそ思へ」は、係助詞「こそ」と已然形「思へ」の係り結びで、惜しいと強く思うことを示す。次歌の初句「惜しむらむ」がこの語を受ける。
かみなりのつぼ:内裏の襲芳舎の別名
おほみき:天皇から賜る酒
たうぶ:いただく、賜る
ゆふさり:夕方
- 作者
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紀貫之
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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飽かずして別るる涙滝にそふ 水まさるとや下は見るらむ
- 次の歌
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惜しむらむ人の心を知らぬ間に 秋の時雨と身ぞふりにける