飽かずして別るる涙滝にそふ
水まさるとや下は見るらむ
- 歌の意味
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名残を惜しみながら別れる涙が滝に加わって、下流の人々は、滝の水かさが増したと見ているだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 離別歌 396
詞書「仁和の帝、親王におはしましける時に、布留の滝御覧じにおはしまして、帰りたまひけるに詠める」
光孝天皇がまだ親王であった頃、布留の滝を見物に訪れて帰る際に詠まれた歌である。別れを惜しむ涙が滝に流れ込み、下流では水かさが増したと思うだろうと、涙の多さを誇張して惜別の情を表している。
作者の「兼芸法し」は、伝の詳らかでない僧である。
初句「飽かずして」は、満ち足りないまま、名残惜しいままの意である。本巻の第四百首も同じ初句をもち、ともに「飽かずして別るる」の形で別れの涙を詠む。
二句「別るる涙」は、別れの際に流す涙で、三句の滝へ流れ込むものとして描かれる。
三句「滝にそふ」は、「そふ」が加わる意で、涙が滝の水に加わるという誇張である。
四句「水まさるとや」は、係助詞「や」で疑問を示し、結句の「らむ」と係り結びをなす。
結句「下は見るらむ」は、「下」が下流、またはそこにいる人々を指し、現在推量の「らむ」で、今ごろ下流では水が増したと見ているだろうかと推し量る。
ふるのたき:大和の石上にある布留の滝
そふ:加わる、付け加わる
しも:川の下流
- 作者
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兼芸
- 出典
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古今和歌集
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ことならば君とまるべくにほはなむ 帰すは花の憂きにやはあらぬ
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秋萩の花をば雨に濡らせども 君をばましてをしとこそ思へ