染川に宿かる波の早ければ
なき名立つとも今は恨みじ
- 歌の意味
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染川に宿を借りる波の流れが早いので、身に覚えのない浮き名が立っても、今はもう恨むまい。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 705
詞書は前の歌に続き「題しらず」
染川に宿を借りる波は流れが早いのだから、身に覚えのない浮き名が立っても今は恨むまいと詠む歌である。色に染まるという名を持つ染川に身を寄せた以上、噂の立つのも避けられないと、あきらめの心を表している。伊勢物語にも、染川を渡る人が色に染まらないはずはないと詠む歌が見え、染川は恋に染まる名所として詠まれた。
作者の源重之は、清和源氏の源兼信の子で、相模権守などを務め、晩年は陸奥に下った。三十六歌仙に数えられる。
初句「染川に」は、筑前国の歌枕の染川に、の意で、名に「染む」を響かせ、恋に染まることを思わせる。
二句「宿かる波の」は、宿を借りる波の、の意で、染川に身を寄せた自分をたとえている。
三句「早ければ」は、流れが早いので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
四句「なき名立つとも」は、身に覚えのない浮き名が立っても、の意で、波の縁語の「立つ」に浮き名が立つ意を重ねている。
結句「今は恨みじ」は、今はもう恨むまい、の意で、「じ」は打消意志の助動詞である。
そめかは:染川。筑前国の歌枕。恋に染まることを思わせる
- 作者
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源重之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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唐衣我は刀の触れなくに まづたつものはなき名なりけり
- 次の歌
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木幡川こはたが言ひし言の葉ぞ なき名すすがむ滝つ瀬もなし