筑波山端山繁山しげけれど
思ひいるには障らざりけり
- 歌の意味
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筑波山は、麓の山や木の茂った山が重なり茂っているけれど、深く思いつめて分け入るのには、少しも妨げにならないことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 1013
詞書は前の歌に続き「題しらず」
山に寄せて恋を詠む一連の三首目である。筑波山は端山や繁山が茂っていても、思いつめて分け入る妨げにはならないと、恋が障りに妨げられないことを詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「源重之」は平安時代中期の歌人で、三十六歌仙の一人である。相模権守などの地方官を歴任し、晩年は陸奥に下ってその地で没した。
初句「筑波山」は常陸国、今の茨城県の山で、男体と女体の二峰からなり、古くは男女が集う歌垣で知られた。
二句「端山繁山」は、麓近くの山と木の茂った山で、筑波山の裾に重なる山々をいう。
三句「しげけれど」は、茂っているけれど、の意で、二句の「繁山」と同じ音を重ねて調子を整える。茂る木々は、恋の妨げとなる人目や障りを暗示する。
四句「思ひいるには」の「いる」は、深く思いつめる意の「思ひ入る」と、山に分け入る意を掛ける。
結句「障らざりけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、妨げとはならないことだ、と結ぶ。次歌の能宣歌も筑波山を詠んで「したに通はん道」を問い、同じ山を舞台に、障りを越える恋と、ほかの男に遮られた恋が並べられている。
はやま:麓近くの低い山
しげやま:木の茂った山
おもひいる:深く思いつめる意と、山に分け入る意を掛ける
さはる:妨げとなる
- 作者
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源重之
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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今日もまたかくやいぶきのさしも草 さらば我のみ燃えやわたらん
- 次の歌
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我ならぬ人に心をつくば山 したに通はん道だにやなき