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霜の上に今朝降る雪の寒ければ
重ねて人をつらしとぞ思ふ

歌の意味
霜の上に今朝降り重なる雪が寒いので、重ねてあの人を薄情だと思うことだ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 1216

詞書「百首歌の中に」
 訪れの途絶えた恋を詠む一連の八首目である。霜の上に今朝降り重なる雪が寒いので、重ねてあの人を薄情だと思うと詠む。詞書によれば、百首歌の中の一首である。
 作者の「源重之」は、清和源氏の源兼信の子で、諸国の国司を務めた。冷泉天皇が東宮であった時に百首歌を献じ、これは現存最古の百首歌とされる。三十六歌仙の一人である。

 初句「霜の上に」は、霜の上に、の意である。前歌までの秋の草に代わり、冬の景物が詠まれる。
 二句「今朝降る雪の」は、今朝降る雪が、の意である。霜の上に雪が重なるさまを示す。
 三句「寒ければ」は、寒いので、の意である。霜と雪が重なる寒さが、独り寝の身にしみることをいう。
 四句「重ねて人を」は、重ねてあの人を、の意である。霜の上に雪が重なることと、恨みが重なることを掛け合わせ、上の句の景を下の句の心へと転じる。
 結句「つらしとぞ思ふ」は、薄情だと思うことだ、の意で、係助詞「ぞ」が連体形「思ふ」と係り結びをなす。訪れのない相手への恨みを、冬の寒さが重なることで一段と深めている。

つらし:薄情だ。冷淡だ
作者
源重之
出典
新古今和歌集
前の歌
結び置きし袂だに見ぬ花すすき 刈るともかれじ君しとかずは
次の歌
ひとり臥す荒れたる宿の床の上に あはれ幾夜の寝覚めしつらん