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伊勢の海人と君しなりなば同じくは
恋しきほどにみるめ刈らせよ

歌の意味
あなたが伊勢の海人となってしまうのならば、同じことなら、私が恋しく思っているうちに、海松布を刈らせて逢う機会をください。
鑑賞
巻第十三 恋歌五 908

詞書「文つかはしける女の親の伊勢へまかりければ、ともにまかりけるにつかはしける」
 あなたが伊勢の海人となるのなら、同じことなら私が恋しく思っているうちに海松布を刈らせてほしい、と詠んだ歌である。伊勢へ下る女を伊勢の海人に見立て、旅立つ前に一度逢わせてほしいと願っている。
 詞書によれば、手紙を送っていた女の親が伊勢へ下ることになり、女も一緒に行くので送った歌である。巻頭の第八百九十一首と同じく伊勢の海人と「みるめ」に寄せており、巻頭が海人になって海松布を採りたいと願うのに対し、本歌は相手が海人となるので海松布を刈らせよと求める、反転した構図になっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「伊勢の海人と」は、伊勢の海人に、の意で、伊勢へ下る女を海人に見立てている。
 二句「君しなりなば」は、あなたがなってしまうならば、の意で、「し」は強めの副助詞、「なば」は完了の助動詞「ぬ」の未然形に「ば」が付いた仮定の形である。
 三句「同じくは」は、同じことなら、どうせなら、の意である。
 四句「恋しきほどに」は、恋しく思っているうちに、の意である。
 結句「みるめ刈らせよ」は、海松布を刈らせてくれ、の意で、「みるめ」に海藻の「海松布」と逢う機会の「見る目」を掛けている。巻頭の第八百九十一首の結句と同じ語で結んでいる。

あま:海に潜って魚介や海藻を採る人
みるめ:海藻の「海松布」と、逢う機会の意の「見る目」を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
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音に泣けば人笑へなりくれ竹の よに経ぬをだに勝ちぬと思はん
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恋しくは影をだに見て慰めよ 我がうちとけて忍ぶ顔なり