世にふれば憂さこそまされみ吉野の
岩のかけ道踏みならしてむ
- 歌の意味
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この世に生きながらえていると、つらさが増すばかりだ。いっそ吉野の岩の懸け道を踏みならすほど通い、山に入ってしまおう。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 951
詞書「題しらず」
世に生きるほどつらさが増すので、吉野の険しい岩の道を踏みならして山に入ろうと決意する歌である。前歌が吉野の奥の宿を願ったのに対し、この歌は自ら険しい道を踏み分けて行こうとしている。
続く本巻の第九百五十二首から第九百五十四首とともに、山に隠れ住むことを願う一連をなしている。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「世にふれば」は、この世に長らえていると、の意。「ふれ」は「経」の已然形で、確定条件を表す。本巻の第九百五十八首の初句も同じ語句である。
二句「憂さこそまされ」は、つらさがまさる、の意。係助詞「こそ」を已然形「まされ」で結び、二句切れである。
三句「み吉野の」は、大和国の吉野の、の意。前歌の初句を受けている。
四句「岩のかけ道」は、岩の崖に棚のように架け渡した険しい道である。
結句「踏みならしてむ」は、踏みならしてしまおう、の意。「て」は完了の助動詞「つ」の未然形、「む」は意志で、決意を強く示している。
ふ:時が過ぎる、年月を送る
かけみち:崖に沿って棚のように架け渡した道
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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み吉野の山のあなたに宿もがな 世の憂き時の隠れ家にせむ
- 次の歌
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いかならむ巌の中に住まばかは 世の憂きことの聞こえこざらむ