恋しさに死ぬる命を思ひ出でて
問ふ人あらばなしと答へよ
- 歌の意味
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恋しさのために死んでしまう私の命を思い出して、尋ねる人があったなら、もうこの世にはいないと答えてほしい。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1236
詞書「少将滋幹に遣はしける」
恋の贈答を並べる一連の三首目である。恋しさのあまり死んでしまう私のことを思い出して尋ねる人がいたら、もういないと答えてくれ、と相手に頼む。詞書によれば、少将滋幹に贈った歌である。
原文には作者名がなく、前歌に続いて「読人しらず」の歌であり、名は伝わらない。詞書の滋幹は藤原滋幹で、大納言藤原国経の子である。少将は近衛少将を指す。
初句「恋しさに」の「に」は原因を表し、恋しさのために、の意である。
二句「死ぬる命を」は、恋しさゆえに死んでしまう命、の意である。恋死にという誇張によって思いの深さを示す。
三句「思ひ出でて」は、前歌の二句「思ひ出でける」と同じ語を用いる。前歌では思い出す主体が恋人であったが、ここでは死後に作者を思い出して尋ねる人が想定されている。
四句「問ふ人あらば」は仮定で、もし尋ねる人がいたら、の意である。
結句「なしと答へよ」は、もうこの世にはいないと答えてくれ、の意の命令である。自分の死を告げる役を相手に託すことで、恋の苦しみを相手に突きつけている。
とふ:尋ねる、安否を問う
こたふ:答える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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君だにも思ひ出でける宵々を 待つはいかなる心地かはする
- 次の歌
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別れては昨日今日こそ隔てつれ 千代を経たる心地のみする