君だにも思ひ出でける宵々を
待つはいかなる心地かはする
- 歌の意味
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あなたでさえ思い出していたという宵々を、ひたすら待っている私は、どのような気持ちでいるとお思いか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1235
詞書「返し」
恋の贈答を並べる一連の二首目で、前歌への返しである。あなたでさえ思い出していた宵々を、待っている私はどんな気持ちでいると思うのか、と問い返す。詞書は返しとのみあり、前歌を贈られた女の返歌である。
作者は「読人しらず」とあり、名は伝わらない。前歌で藤原実頼が歌を贈った女である。
初句「君だにも」の「だに」は、程度の軽いものを挙げて重いものを類推させる助詞で、あなたでさえ、の意である。思う側の男を軽い方に置き、待つ側の自分の重さを浮かび上がらせる。
二句「思ひ出でける」は、前歌の三句「思ひつつ」を受けている。男が思い続けていると言ったのを、思い出していた、と受け止めて返している。
三句「宵々を」は、前歌の初句「宵々に」をそのまま受ける。同じ宵々が、男にとっては思う夜であり、女にとっては待つ夜であるという対照が生まれる。
四句「待つはいかなる」で待つ側の立場が示される。前歌の男の「泣く」に対し、女は「待つ」をもって応じ、思う側と待つ側の構図が反転する。
結句「心地かはする」の「かは」は疑問、反語を表し、どのような気持ちがするとお思いか、と相手に問い返す。待つ身の苦しさは泣く男の比ではないという思いがこもる。
よひよひ:毎夜毎夜、夜ごとの宵
ここち:気持ち、心持ち
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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宵々に君をあはれと思ひつつ 人には言はで音をのみぞ泣く
- 次の歌
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恋しさに死ぬる命を思ひ出でて 問ふ人あらばなしと答へよ