別れては昨日今日こそ隔てつれ
千代を経たる心地のみする
- 歌の意味
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別れてからは、昨日と今日の二日を隔てただけなのに、まるで千年も経ったような気持ちばかりがする。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1237
詞書「恨むる事侍りて、さらにまうで来じと誓言して、二日ばかりありて遣はしける」
恋の贈答を並べる一連の四首目である。別れてから昨日今日の二日を隔てただけなのに、千年も経ったような気持ちがすると詠む。詞書によれば、恨むことがあって二度と来るまいと誓ったものの、二日ほどして女のもとへ贈った歌である。
作者の「謙徳公」は藤原伊尹である。右大臣藤原師輔の長男で、摂政、太政大臣に至り、一条摂政と呼ばれた。謙徳公は没後に贈られた諡号である。
女は次歌の第千二百三十八首で答えている。
なお本文の四句は「千代を経たる」とあり、読み仮名の行の「ちよしもへたる」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「別れては」は、別れてからは、の意である。「ては」によって別れた後の時間に焦点が当てられる。
二句「昨日今日こそ」は、わずか昨日と今日の二日だけ、の意である。「こそ」は三句の已然形「隔てつれ」と係り結びをなす。
三句「隔てつれ」は、隔てただけだが、の意である。こそに已然形で結ぶ形が逆接となって下に続き、二日という短さを次の千代と対比させる。
四句「千代を経たる」は、千年も経った、の意である。昨日今日の二日と千代という極端な時間の対比が一首の眼目である。
結句「心地のみする」は、そんな気持ちばかりがする、の意である。二度と来ないと誓った強がりが二日で崩れたことを、率直に認める結びである。
ちかごと:誓いの言葉
まうでく:参上する、訪ねて来る
へだつ:間を置く、隔てる
ちよ:千年、非常に長い年月
- 作者
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藤原伊尹
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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恋しさに死ぬる命を思ひ出でて 問ふ人あらばなしと答へよ
- 次の歌
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昨日とも今日とも知らず今はとて 別れしほどの心まどひに