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身を捨つる人はまことに捨つるかは
捨てぬ人こそ捨つるなりけれ

歌の意味
出家して身を捨てる人は、本当に身を捨てているのだろうか、いやそうではない。身を捨てない人こそが、実は自分を捨てているのであった。
鑑賞
巻第十 雑歌下 372

 出家して世を捨てた人は本当に身を捨てているのか、そうではなく、世を捨てない人こそかえって自分の身を捨てているのだと説く一首である。出家こそが真に自分を生かす道であるという逆説を、「捨つ」の語をくり返して鮮やかに表している。
 この歌は西行の作と伝えられ、出家前後の西行の思いを示す歌として知られる。

 初句「身を捨つる」は、世を捨てて出家することをいう。
 二句「人はまことに」は、係助詞「は」で人を取り立て、本当にという意を添える。
 三句「捨つるかは」は、係助詞「かは」による反語で、本当に捨てているだろうか、いやそうではないという三句切れである。
 四句「捨てぬ人こそ」は、打ち消しの「ず」の連体形と係助詞「こそ」で、世を捨てない人こそと強く取り立てる。
 結句「捨つるなりけれ」は、断定の「なり」と詠嘆の「けり」の已然形で「こそ」を受けて結ぶ係り結びで、その人こそ身を捨てているのであったと結ぶ。

みをすつ:世を捨てて出家する
作者
よみ人しらず
出典
詞花和歌集
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帰る雁西へ行きせば玉章に 思ふことをば書きつけてまし
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