近江なる打出の浜のうち出でつつ
うらみやせまし人の心を
- 歌の意味
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近江にある打出の浜の名のように、心の内を打ち明けては、あの人のつれない心を恨んでみようか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 982
詞書は前の歌に続き「題しらず」
近江の打出の浜の名のように、心の内を打ち明けて、あの人の心を恨んでみようか、と詠む歌である。これまで胸に秘めてきた恨みを、いっそ口に出して相手にぶつけようかと思い迷う心を、地名に掛けて詠んでいる。
前歌までが恨みを口に出さずに抱え込む心を詠むのに対し、本歌は恨みを打ち明けようかと迷う心へと進んでいる。
初句「近江なる」は、近江の国にある、の意である。
二句「打出の浜の」は、近江国の琵琶湖南岸にある打出の浜の、の意である。上の二句は、「打出」と同じ音を重ねて三句の「うち出で」を導く序詞である。
三句「うち出でつつ」は、口に出して言っては、の意で、「つつ」は反復を表す。
四句「うらみやせまし」は、恨んでみようか、の意で、「うらみ」は「浜」の縁で「浦見」に「恨み」を掛けた掛詞である。「や…まし」はためらいを表す。ここで句切れとなる。本巻の第九百八十首の四句「うらみぞ深き」、第九百八十三首の四句「うらみられぬる」と、同じ掛詞を共有している。
結句「人の心を」は、あの人の心を、の意で、四句の目的語を後に置く倒置となっている。
うちいづ:打ち出づ。口に出して言う
うらみ:浜の縁で「浦見」と「恨み」を掛ける
うちでのはま:打出の浜。近江国、琵琶湖南岸の浜
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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怨みぬも疑はしくぞおもほゆる 頼む心のなきかと思へば
- 次の歌
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わたつ海の深き心はありながら うらみられぬるものにぞありける