怨みぬも疑はしくぞおもほゆる
頼む心のなきかと思へば
- 歌の意味
-
あなたが私を恨まないのも、かえって疑わしく思われる。私を頼みにする心がないからかと思うと。
- 鑑賞
-
巻第十五 恋歌五 981
詞書は前の歌に続き「題しらず」
あなたが恨まないのもかえって疑わしく思われる、私を頼みにする心がないからかと思うと、と詠む歌である。恨み言を言わない相手の態度に、自分への思いの薄さを読み取ってしまう恋の疑心を詠んでいる。
初句「怨みぬも」は、恨まないのも、の意である。
二句「疑はしくぞ」は、疑わしく、の意で、係助詞「ぞ」が三句と係り結びをなしている。
三句「おもほゆる」は、思われる、の意で、動詞「おもほゆ」の連体形で二句の「ぞ」を受けて結んでいる。ここで句切れとなる。
四句「頼む心の」は、頼みにする心が、の意である。本巻の第九百七十三首の「頼めば人を怨みつるかな」と呼応し、頼む心があれば恨むはずだという考えを裏から詠んでいる。
結句「なきかと思へば」は、ないのかと思うと、の意で、上の句の理由を倒置によって後から述べている。
おもほゆ:思ほゆ。自然に思われる
たのむ:頼む。頼みにする、あてにする
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
つらけれど人には言はずいはみ潟 うらみぞ深き心ひとつに
- 次の歌
-
近江なる打出の浜のうち出でつつ うらみやせまし人の心を