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玉くしげあけば君が名立ちぬべみ
夜深く来しを人見けむかも

歌の意味
夜が明けてしまえば、あなたの浮き名が立ってしまいそうなので、まだ夜の深いうちに帰ってきたのに、それを人が見ただろうか。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 642

詞書「題しらず」
 夜が明けてから帰れば相手の評判が立ってしまうので、まだ暗いうちに帰ってきたが、それでも人に見られただろうかと案じる歌である。自分よりも相手の名を気遣う心づかいが表れている。
 作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わっていない。

 初句「玉くしげ」は、櫛を入れる美しい箱のことで、箱を開けることから「あけ」にかかる枕詞である。
 二句「あけば君が名」は、開くと明くを掛けた掛詞で、夜が明けたならば、の意である。
 三句「立ちぬべみ」は、立ってしまいそうなので、の意で、推量「べし」の語幹に接尾語「み」が付いて理由を示す。
 四句「夜深く来しを」は、夜の深いうちに帰ってきたのに、の意である。
 結句「人見けむかも」は、人が見ただろうか、の意で、過去推量「けむ」と疑問、詠嘆の「かも」で不安を表す。

たまくしげ:櫛などを入れる美しい箱
あく:箱を開ける意と、夜が明ける意を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
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ほととぎす夢かうつつか朝露の おきて別れし暁の声
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