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ほととぎす夢かうつつか朝露の
おきて別れし暁の声

歌の意味
ほととぎすの声は、夢だったのか現実だったのか。朝露が置くころに起きて恋人と別れた、あの暁に聞いた声は。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 641

詞書「題しらず」
 恋人と別れた暁に聞いたほととぎすの声が、夢だったのか現実だったのか定かでないと詠む歌である。逢瀬の余韻と別れの悲しみで心がぼんやりとしている様子を、ほととぎすの声の不確かさに託している。
 作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わっていない。
 後朝の歌群の中に置かれ、「夢かうつつか」の句は、本巻の第六百四十五首の斎宮の歌にも見え、夢と現実のあわいを詠む歌へとつながっていく。

 初句「ほととぎす」は、夏の鳥で、夜明けに鳴く声が詠まれることが多い。
 二句「夢かうつつか」は、夢なのか現実なのか、の意で、係助詞「か」を重ねて判断のつかない心を表す。二句切れである。
 三句「朝露の」は、朝露が置く、の意から「おき」を導く序となる。
 四句「おきて別れし」は、露が置くと人が起きるを掛けた掛詞で、起きて別れた、の意である。
 結句「暁の声」は、体言止めで、暁に聞いたほととぎすの声を示し、初句と呼応させて結ぶ。

おく:露が置く意と、人が起きる意を掛ける
うつつ:現実
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
しののめの別れを惜しみ我ぞまづ 鳥より先になきはじめつる
次の歌
玉くしげあけば君が名立ちぬべみ 夜深く来しを人見けむかも