今朝はしもおきけむ方も知らざりつ
思ひ出づるぞ消えて悲しき
- 歌の意味
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今朝は、霜が置くようにどうやって起きて帰ってきたのか、そのことさえもわからなかった。思い出すと、霜が消えるように身も消え入るほど悲しい。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 643
詞書「題しらず」
今朝の別れの時は、どのように起きて帰ったのかもわからないほど心が乱れていた、思い出すと消え入るほど悲しいと詠む歌である。「しも」に強意と霜を、「おき」に霜が置くと起きるを掛け、霜が消える姿に身も消え入るような悲しみを重ねている。
作者の「大江千里」は大江音人の子で、宇多天皇の命により漢詩句を題にした『句題和歌』を撰進した。中古三十六歌仙の一人である。
初句「今朝はしも」は、強意の副助詞「しも」と霜を掛けた掛詞で、今朝は、と強めつつ霜を詠み込む。
二句「おきけむ方も」は、置くと起くを掛けた掛詞で、霜が置いた方角と、自分が起きた様子を重ねる。過去推量「けむ」を用いる。
三句「知らざりつ」は、わからなかった、の意で、完了「つ」で言い切る三句切れである。
四句「思ひ出づるぞ」は、思い出すと、の意で、係助詞「ぞ」で強調する。
結句「消えて悲しき」は、消え入るほど悲しい、の意で、「消え」は霜の縁語である。連体形「悲しき」で「ぞ」を結ぶ係り結びである。
しも:強意の副助詞と、霜を掛ける
おく:霜が置く意と、人が起きる意を掛ける
- 作者
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大江千里
- 出典
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古今和歌集
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玉くしげあけば君が名立ちぬべみ 夜深く来しを人見けむかも
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寝ぬる夜の夢をはかなみまどろめば いやはかなにもなりまさるかな