飽かずして月の隠るる山本は
あなた面ぞ恋しかりける
- 歌の意味
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まだ見飽きないうちに月が隠れてしまう山のふもとでは、山の向こう側が恋しく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌上 883
詞書「題しらず」
見飽きないうちに月が山に隠れてしまう山のふもとに住む者の立場から、月がまだ見えているであろう山の向こう側をうらやむ歌である。月を惜しむ心が、見えない山の裏側への思いとして表されている。作者は未詳である。
初句「飽かずして」は、まだ十分に見飽きないうちにの意である。次歌の第八百八十四首の初句「飽かなくに」と同じ心で始まり、二首が並ぶ。
二句「月の隠るる」は、月が山の端に沈んでいく様子をいう。
三句「山本は」は、山のふもとのことで、月が早く隠れてしまう場所である。
四句「あなた面ぞ」は、山の向こう側の面を指し、まだ月が見えている側をいう。本巻の第八百七十七首の「山のあなた」と、山の向こうを思う点で対をなし、あちらでは月の出が遅く、こちらでは月の入りが早いという反転した構図になる。
結句「恋しかりける」は、「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びである。
やまもと:山のふもと
あなたおもて:山の向こう側の面
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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天の河雲のみをにて早ければ 光とどめず月ぞ流るる
- 次の歌
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飽かなくにまだきも月の隠るるか 山の端逃げて入れずもあらなむ