惜しむとて止まる事こそかたからめ
わが衣手を干してだに行け
- 歌の意味
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別れを惜しんだからといって、とどまることは難しいだろう。せめて私の涙に濡れた袖を干してから行ってくれ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 329
詞書は前の歌に続き「題しらず」
別れを惜しんでも旅立つ人がとどまることは難しいだろうから、せめて自分の涙に濡れた袖を干してから行ってほしいと詠む歌である。引き留められないことを受け入れながら、涙の乾く間だけでも共にいてほしいという切ない願いを表している。
初句「惜しむとて」は、惜しむからといって、の意である。本巻の第三百十六首、第三百二十二首の初句も「惜しむ」に始まっている。
二句「止まる事こそ」は、とどまることは、の意で、係助詞「こそ」による強調である。
三句「かたからめ」は、難しいだろうが、の意で、「め」は推量の助動詞「む」の已然形であり、係助詞「こそ」を受けて結び、逆接で下の句に続いている。
四句「わが衣手を」は、私の袖を、の意である。本巻の第三百二十六首の濡れた袖と、袖の涙をめぐって呼応している。
結句「干してだに行け」は、せめて干してから行け、の意で、「だに」は最小限の願いを表し、「行け」は命令形である。
ころもで:袖
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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遠く行く人のためにはわが袖の 涙の玉も惜しからなくに
- 次の歌
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糸による物ならなくに別れ路は 心細くも思ほゆるかな